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正しさにふりまわされないコツ [読書]

「正しさ」にふりまわされないコツ  和田秀樹 朝日新聞出版

正しさに厳しく、ときに生きづらく感じる方へ。
「正しさ」と「損得」のバランスを考える

例えば、道に一万円が落ちていて、どうするかという話しです。
二種類の人間がいますね。

●正直者はバカをみる、と言う言葉を真に受けなくていい


まっとうな人間ほど、正しいことをしている人ほど、実は自分は損をしているんじゃないかとふと思うことがある。
世の中には、ちょっとずるい人もいれば、正しいことをする人もいるのが、世の中。
ズルい人の言葉は、サラッと流していい。

●金銭的に損、より精神的に損を計算する
正しいことをしている人ほど損をする、というのは本当か。

精神医学用語
自我異和的・・・本人に取って、違和感があり嫌な気持ちに襲われること
自我親和的・・・自分の心が気持ちいいこと

正しい人にとっては、拾ったお金を使うことがストレスになる。
精神的に損をすることになる、そんなお話しでした。


精神的に心地いい、という得もある。
金銭的、時間的なことだけではなく、精神的にどうかも大切ですね

自我親和的な満足感も大事にすると、健全な精神が保てそうです。


教える立場の全ての方へおすすめ [読書]

「講師・インストラクターハンドブック〜効果的な学びをつくる参加者全体の研修デザイン、中村文子、ボブ・パイク 著、日本能率協会マネジメントセンター」2017年、3月

ビジネス界では、社員研修、新人研修、スキルアップ研修など様々な研修が日々開催されている。
教育分野でも、それはきっと同じだろう。研修を授業に置き換えて問題ないだろう。
この本は、誰かに教える立場にある全ての人へ、参加者の意欲を引き出す"研修手法のエッセンス"を贈りとどけているもの。世界30カ国で実践されているという。

ちょっと考えると、当たり前だろうということが多かったが、あまりに当たり前すぎて、普段見過ごしてしまっているかもしれないことも実際には多い。

例えば、会場の設営の形態のメリットでメリットが示されていたり、グループワークのために用意する付箋がたっぷりと置かれていると、じゃんじゃん書いて良いんだという意図を無意識に参加者が感じ取ってくれる、など。言葉にしなくても、会場の雰囲気や設備が語ることも多い。
あっという間に読むことができ、なおかつ、基礎から全体を見直せる。
教える立場の全ての方に、この本をおすすめしたい。


きれいに整理されてあったので改めてゼロから研修を授業に読み替え、子ども達をイメージしながら見直すことができた。もちろん、大人と子どもでは少し異なる面もあるが基本は同じ人間である。

研修参加者 (受講者)の主体性を最大限に引き出し、効果的な研修(授業)を生み出すにはどのようにすればよいかを整理できた。非常に読みやすく簡潔にまとめられていた。

人間なのだから基本的なところは、大人も子どもも同じだろう。
子ども達への授業、主体的に最大の効果を生み出す授業を創造するという目的を果たすために、役立つ本である。
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以下、少し抜き出してみた。

●学習者のタイプ
考察型と参画型

●脳科学的に、新しく学んだスキルが行動として定着し、無意識にできるようになるまでには、18日〜8ヶ月を要する。(脳科学 デビッド・ロック氏)

●エビングハウスの忘却曲線。
聞いた情報のうち90%以上が30日以内に忘却する。研修後30日間に6回振り返ることが重要。

●90/20/8の法則
90分1コマ、20分単位のコンテンツ(7つ以内の情報)で20分ごとに振り返りを。
8分に1回は情報提供をやめる。

●長期記憶への移行を助ける方法。
関連づける、意外性のあるものにする、最初と最後を重視する、書いて覚える、繰り返す

●脳を活性化し、学習効果を高める方法
身体を動かす、脳を刺激する(クイズ等、食べ物、飲み物の活用、場所を変える

●5つの会場設営方法
1) スクール型、2)シアター型、3)ボードルーム型、4) 島型、5) 円卓型

●学習の5段階
レベル1:意識していないし、できない
レベル2:意識しているのに、できない
レベル3:意識してできる
レベル4:意識しなくてもできる
レベル5:意識しなくてもできることを意識レベルに落とし込む

●研修の効果測定〜カークパトリックの4段階評価法
実施したけど、その効果はあったのか?
どういう効果があったのか?

レベル1 反応 (満足度を測る、一般的にはアンケートで測定)
レベル2 習得 (学んだことの習得度を測る、確認テストなど)
レベル3 行動 (学んだことの実践度を測る、行動変容)
レベル4 成果 (もたらした成果を測る)

これらレベル1-4を適切に把握し、研修や授業を組むこと。

●研修のPDCA
自分で、他者を巻き込んで、生徒や学生が授業の評価を







意思決定の力 [読書]

AかBのどちらを選ぼうか。
続けようか、やめようか。

個々の人生は、意思決定の繰り返しから構築されています。
家庭や会社という組織も、意思決定の繰り返しから構築されています。

様々な場面で、
"意思決定をどう下すか"
"スピーディーに的確な判断をどう下すか"
"状況を的確に捉えて、よりよい方法で問題解決できるか"
が問われます。

おそらく、地球上の誰一人として、このような意思決定の力 (よりよい道を選択する力)を必要としない人はいないと思います。

そこで、改めて問いかけていただきたいのです。

意思決定の力を鍛える方法はどこかで学んだことがあるでしょうか?
問題への対処の方法や知識をどこかで学ばれた方はどれくらいでしょうか?
フレームワークや思考の技術をどれくらい意識されていますか?

このような学習との出会いは、多くの人々にとってはあまりなじみがなく、
社員教育制度の手厚い大会社に就職できた人々や、管理職レベルの人々に制限されがちであるように感じます。自己啓発本やビジネス書が好きな人を除いては、あまり世間一般では知られていないように思いますがいかがでしょうか。
しかしながら、実際には、ごく一般の人々にとっても、大きなヒントを与えてくれる有用な方法論がありますので、このような理論に少しでも触れられると物事の考え方が少し変わるかもしれません。

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今月のテーマは、【物事をシンプルに考える】としています。
アイデアの創造のコツやフレームワークに関する書籍を読みました (最後に3冊記します)。

フレームワークとは、考え方の枠組みや着眼点、分析手法をモデル化、理論化したものです。
日常生活から分野まで、有用な思考ツールを数多く提供してくれるものです。
例えば、有名なものとしてパレートの法則や、PDCAサイクルなどがあるでしょうか。
確か、以前もご紹介しましたね。

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今はまだ小学生のみなさんも、今後
社会に出て、重要な仕事を担当し、自分の意思決定が会社の運命に大きな影響を与える立場になります。
自分自身で仕事をする人々も同様だと思います。
よい家庭を築きお家を守り、子育てをする人々も同様だと思います。

より良い判断をする力を鍛えるにはどうしたら良いでしょうか。
判断力、決断力、行動力、意思決定力、問題発見力、情報収集力、問題解決力、忍耐力、
様々な力が必要となるでしょう。探Q舎の授業では、これらの力を総合的に鍛えて行きます。

自分自身の問題で、
夫婦の問題で、
親子の問題で、
家庭の問題で、
仕事の問題で、
近所の問題で。

日常では、様々な問題解決を迫られる状況が連続的におこります。
重要な意思決定を瞬時に行わなければいけないような状況でも、
できるかぎりの方法を尽くしてより良い判断を導くことができれば、
きっと後悔のない道を選ぶことができ、選択した道に責任と誇りを持てるのではないでしょうか。

【おすすめの本】
数々のツールが並んでいますので、ご存知の方ももう一度総合的に復習できるかもしれません。
●瞬間フレームワーク ジェームズ・マクグラス (著), 福井 久美子 (翻訳)クロスメディア・パブリッシング(インプレス)– (2017/2/20) 
●アイデア大全――創造力とブレイクスルーを生み出す42のツール
読書猿 (著)フォレスト出版 (2017/1/22)
●選択の科学  シーナ・アイエンガー (著), 櫻井 祐子 (翻訳) 文藝春秋 (2010/11/12)



広く、深くの大切さ〜科学と文学、双方横断。 [読書]

湯川秀樹  詩と科学  平凡社

35篇のエッセイ集、読んでみました。
中には、15歳のときの作品「勝敗論」も含まれていました。
中学生の頃、童話も書いていたそうです。
湯川秀樹の名言やエッセイ、とても洗練されているように思っていたのですが、
なるほど、少しだけ謎が解けたような気がしました。


小学校に入る前の5歳頃から「大学」、「論語」などの四書五経を学んだそうです。
祖父から声に出すだけで、意味の説明をしない素読をしていたそうです。
小学生から中学生にかけて日本や中国の古典から現代小説まで。
文学少年だったそうです。
この類いの話しはホントによくあるお話しですが、湯川も例外にもれず、そうだったのですね。
五歳からの教育が、将来の、理論物理学、書く仕事の礎を築いたのかもしれません。


湯川秀樹と同級生だった朝永振一郎は、彼のことを百年先まで見ていると評したそうです。
戦後すぐに彼が予見していた通りの世の中が現在。その通りになっています。
危惧していたような多くの問題をはらむ世界。
時代の先を読む力はほんとうに大切な力だと思います。


「塞翁が馬」の話しはみんなが知っていることわざです。
一般的な解釈に加え、そこから彼はさらに重要な教訓をひきだしています。
塞翁という老人は、"常に少数意見の代表者"であったと。

"未常識"から"常識"をあらたに発掘するような、創造的な仕事を生み出す人々は、
必ず、はじめは少数意見の代表者から出発します。

彼の場合は、幸い比較的早くに強力な支援者に出会えたそうですが、
たいていは少数意見どころか、たった一人での出発が殆どでしょう。

みんながやっているからそうしよう、
みんなと一緒だから安心などという自立心のない考えでは、
きづけば大変なことになってしまいます。
そういう生き方を好む好まざるは人それぞれでしょうけれど、
自分の意見を大切に、"自分なりの真の道"を生きることのできる未来の巨人を一人でも多く。

そのように私は、願っています。







こどもの詩 [読書]

「ことばのしっぽ」 「こどもの詩」50周年精選集   読売新聞生活部    中央公論新社

ステキな詩がたくさんありました。
こどもたちってやっぱり感性がとてつもなく鋭いですね。
こんなにも高度な表現力が既に三歳のころから備わっているなんて。

うーん。こんな良い詩、自分に創れる自信はありません………...

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れ               
                 豊田 敏久 (埼玉 3歳)
ママ
ここに
カンガルーがいるよ


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とけい

                 吉沢 一貴 (神奈川・4歳)
もうちょっと
ゆっくりの
とけい
かいたい


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ぼう走ぞくへ

                  小川 陽子 (千葉・小1)

ぼう走ぞくとかいって
ただ走ってないで
新聞でも
くばって走れ


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                  渋谷 将生 (神奈川・年中)

白い大きな雲だね
雲を食べたら青空になるね
青空を食べたら夕焼けになるね
夕焼けを食べたら夜になるね


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まだまだ、珠玉の作品がありました。
ご興味のある方は、どうぞ読んでみてください。

選者のコメントがそれぞれの詩についているのですが、
作品によってはこれはコメントない方がいいなあと思ったコメントもありました。
このように思ったのは自分だけでしょうか。。。。


限りなく完璧に近い人々〜なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか? [読書]

限りなく完璧に近い人々なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか? マイケル・ブース  角川書店

タイトルから強気に個性を丸出しにしているので、ちょっとひかれて手に取って、読んでみました。
北欧5か国(デンマーク、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン)の「国民性」についてのエッセイです。

これまで、私自身は、これらの国々についての印象を、"北欧"や"スカンジナビア"といったようにひとまとめに捉えがちであり、各国の個性や違いについて情報を持っておらずよく分からなかったんです。

そこで、タイトルに惹かれてたまたま目にしたこちらの本を読んでみようと思いました。
結構分厚い本でしたが、感想としては、各国の歴史、経済、文化、福祉、教育、気候、母国語など様々な視点がら丁寧にみなおされたあと、国自体のアイデンティティーがこんなにも明確に示されている本はなかなかないのではないかと感じました。
同じ北欧諸国でも、これまでの歴史の中でそれぞれの経験や苦労を経ており、気候や地理的な背景からの産業経済基盤、国の強みなど、各国には予想以上に大きな違いがありました。
各国の歴史、経済、文化、福祉、教育、気候、母国語、どれをとっても大きな違いばかりでした。
国民性もほんとうにそれぞれ、実に興味深い内容でした。


面白かったのは、北欧諸国の最強の国々の中での他国に対する相互の見方でした。
三角関係からぬ、五角関係というのでしょうか。

いずれにせよ、今後、北欧諸国がさらにEUのような恊働関係を強めるとしたならば、他の世界の国々は間違いなく脅威に感じるでしょう。


北欧と言えば、教育、福祉、医療、働き方、自然エネルギー、男女平等の社会進出など、あらゆる分野で世界の先頭を行く先進国が並んでいます。
教育に関しても述べられており、参考になる情報が多く得られました。
幸せで深い充実した人生をおくるために、国力を強める方法、一人一人の国民を幸福にする方法について北欧諸国からは、まだまだ多くを学ぶことがありそうです。



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少し古いですが、フィンランド外務省の記事 (2016年秋)です。
http://www.finland.or.jp/public/default.aspx?contentid=350772

Q) 新カリキュラムによって、OECDの学習到達度調査(PISA)によって得られた「学力世界一」の評判が落ちるのではないですか。

A) そうかもしれませんが、それがどうしたというのでしょう。
「フィンランド的考え方では、PISAランキングの意義は取るに足りません。PISAは血圧測定のようなもので、時々自分たちの方向性を確かめるうえではよいですが、それが永遠の課題ではないのです」と、教育専門家のサルベリは断言します。「教育上の決定を行う際、PISAを念頭に置いてはいません。むしろ子どもや若者が将来、必要とする情報こそが大事な要素となります」

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どこかの国とは大違いで、教育の本質を貫いており、カリキュラム改訂の際にも、揺らぎは微塵もありませんね。学ぶことは多いです。

これからも、北欧諸国の教育に関して情報入手を継続することにより、良い教育プランがあれば、探Q舎の授業にもどんどん反映していきます。ご期待下さい。



LIFE SHIFT ライフシフト〜100年時代の人生戦略 [読書]

LIFE SHIFT ライフシフト〜100年時代の人生戦略
リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット 東洋経済新報社

久しぶりに多くの気づきが得られた密度の濃い本であった。
思考実験が綿密になされ、100年ライフに適した行き方を模索している。
これまでの人生は、教育→仕事→引退の3ステージの生き方が基本であった。

しかし、今後を生きる人々は、100年ライフが見込まれるため、親世代や現在の中年世代が生きてきた方法論は今後の子ども世代には全く通用しないという。過去のモデルは全く役に立たないのである。従って、100年ライフを送る人々は自らが主体的に実験する必要があるという。

今後を生きる100歳生きる人々の人生はどのように過ごすと最大の幸福が得られるのだろうか。
寿命が長くなることが、よりよい人生を過ごすことに繋がるにはどのようにいきるのが得策か。
100年ライフでは、3ステージだと、勤労時代が長過ぎて息がもたないという。

詳細なシュミレーションによって、今後の生き方のおすすめパターン、すなわちマルチステージの人生を、何通りかにわけて提案していた。
例えば、教育→エクスプローラー→企業に勤める→インディペンデント・プロデューサー →再び企業に勤める→ ポートフォリオ・ワーカー→引退

1) エクスプローラー (探検者、冒険者)
周囲の世界を探査し、そこになにがり、その世界がどのように動いているか、自分が何をすることを好み、何が得意かを発見していく。その世界で関わりを持つ中で、自らが設定した特定の問いに答える探検者。あるいは新発見の喜びを味わうために多様なものに触れ、人的ネットワークを拡げ、その多様性を高め、自己の価値観を改めて深く考える冒険者。

2) インディペンデント・プロデューサー (独立生産者)
起業家や、企業と新しいタイプのパートナー関係を結んだりして経済活動に関わる。
職を探す人ではなく、自分の職を生み出す人。永続的な企業を作ろうとする人は少なく、もっと一時的なビジネスを目的とすることが多く、事業を売却する事ではなく、事業を始める事が目的である。
自分が経験していることに意識を向け、それをありのままに受け入れる姿勢を強く持ち、試行錯誤をスピーディーに繰り返して学びをどんどん深めていく。

3) ポートフォリオ・ワーカー
様々な活動に同時並行で取り組む。異なる種類の活動を同時に行うのがこのステージである。
例えば、所得の獲得を主たる目的とする活動、地域コミュニティとの関わりを主たる目的とする活動、親戚の力になるための活動、趣味を極めるための活動等、バランスを主体的にとりながら充実した日々を送る。

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有形資産だけでなく、無形資産を蓄えよう、、とのこと。

現在の、多くの視点は、引退後など人生の後期にのみ偏っており、それは個人でも企業でも政府でもどうようの傾向がみてとれる。
また、年金や老後の資金面のみに焦点があたりがちであることに警笛をならしている。
今、本当に考えなくてはいけないのは、もっと早期からの人生計画であり、若者から老人にいたるまで全ての世代の個人が、そして企業も政府もそれぞれの立場で解決すべき改善すべき課題が山積されているのである。

重要な概念は、金融面の問題だけでなく、有形資産に加え、無形資産の蓄積にもっと注意をむけること。
全く以て著者たちの指摘する通りであり、この部分の記述内容に関して非常に共感した。

無形資産としては、以下があげられる。
1) 生産性資産
ヒトが仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素。主にスキルと知識、仲間、評判。

2)活力資産
肉体的、精神的な健康と幸福のこと。健康、友人関係、パートナーやその他の家族との良好な関係など。

3) 変身資産
自分について良く知っていること。多様性に富んだ人的ネットワーク、新しい経験に対して開かれた姿勢をもっていること。

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100年ライフを考える時に、最も重要であるのが教育である。
教育についても重要な視点が明確に描かれており、100年ライフを過ごすことになる子ども達をお持ちの親御さんたちには必読の書である。また、世代間の思考パターン、行動パターンの違いに理解が及ばず、悩まされるとき、自分自身とは異なる世代の考え方を知るヒントを見出せる近年稀にみる貴重な一冊であると思う。

ジャンクDNA [読書]

ジャンクDNA-ヒトゲノムの98%はガラクタなのか?  Nessa Carey 著、中山潤一 訳  丸善出版

ゲノムとは、その生物が持つ全ての遺伝情報のことです。
ヒトのゲノムが解読されたのが2000年。私達のゲノムの中でタンパク質をコードしている配列はたった2%しか存在せず、残りの98%は機能のわからない配列で占められているという事実が明らかにされました。

当時は、その存在意義が不明であった事から、ジャンク (ガラクタ)DNAと呼ばれるようになりました。これらの機能について、多くの研究例が分かりやすく解説されていました。最新の研究成果が次々に紹介されており、生物学を学んできた私にも新鮮に感じられる作品でした。
まだまだ発展途上ではあるものの、遺伝病への関与など徐々に研究成果が出されており、今後もその機能について明らかにされていくことでしょう。

このようによく、言われます。
専門分野の話しを、一般の人々にどれだけわかりやすく的確に伝えられるかによって専門家としての力量が測られるとか、自分の研究内容を小学生に5分で説明できて初めて一人前の研究者である、と。

専門用語や最新の成果が散りばめられているものの、生物学の基礎的な知識がとても丁寧に分かりやすく説明されていて、ひとつひとつの話題の中で、生物学の世界を容易にイメージできるように分かりやすい的確なたとえ話、比喩がふんだんに織り込まれている。

なるほど、一般の読者にも、生物学の世界に触れていない人でもこういうふうに説明されたら、とても簡単にイメージできるなあ、なんて、その著者の表現力に圧倒された著書でした。

専門分野の人間であってもこういう活きた授業をできる教授はなかなかいないのではないでしょうか。
一般の読者を専門の世界に引き込む巧みな技術は、とても勉強になりました。










心的外傷後成長 [読書]

心的外傷後成長(Post Traumatic Growth, PTG)

PTSDはよく知られていますが、心的外傷後成長 (PTG) はそこまで知られていないかもしれません。

心的外傷後成長という概念。
比較的最近の研究から生まれてきたようです。
ただし、

(注意) 非常にセンシティブな問題であり、口にする状況によっては不謹慎に捉えられたり、だれかを傷つけたり、不快にさせたりする危険があるので、注意深くあるべきです。
取り扱いには十二分に気をつけなければなりません。PTGという概念が軽々しく扱われるなら、誰かを思いのほか傷つけてしまうことになりかねません。

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PTSDを経験する人の多くがPTGも経験するといいます。
最終的には、PTSDがPTGに繋がるということです。
しかしながら、トラウマを経験した誰もがPTGも経験するわけではないそうです。

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読んでいる本の中に、興味深いことが書かれていたので、今回ご紹介します。
それは、「スーパーベターになろう、ジェイン・マクゴニガル著、早川書房」に書かれていました。
まだ読み始めたばかりです。人生にゲームを取り入れると驚くべき効果が発揮される、どうやら人生をゲームとして捉えようという本のようです。2015年の11月発行ですが、自分はゲームを殆どしないのでスーパーベターの意味も分からず、このような本の存在も知りませんでした。

【PTG経験者たちが口にする代表的な5つの言葉】
1. 優先順位が変わった。幸福になるために行動することを恐れなくなった。
2. 友人や家族を身近に感じるようになった
3. 自分をもっと理解できるようになった。自分が何者なのかわかった。
4. 人生に新しい意義と目的を見出した。
5. 目標と夢に集中できるようになった。

一方、

「死ぬ瞬間の5つの後悔」ブロニー・ウェア (オーストラリアのホスピス職員)の記事

1.あんなに働きすぎなければよかった
2.友人と連絡を取り続ければよかった
3.もっと幸せを求めればよかった。
4.勇気を出して、ほんとうの自分を表現すればよかった。
5.他人の期待に応えるのではなく、自分の夢を追求すればよかった。



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はじめの5つの言葉と、あとの5つの後悔を見比べましょう。




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それは、5つの言葉と、5つの後悔が正反対であるということです。
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もう一歩、進めて、トラウマを経験する事なくして、恍惚後の成長 PEG (PostEcstatic growth)(痛みなき成長とも呼ばれる) を体験することで類似の効果をもたらすとのことです。
マラソンの完走、本の執筆、起業する、親になる、禁煙するといった困難なチャレンジを乗り越えた時、PEGはPTGと同様の働きをするそうです。


違いは自分でチャレンジを選ばなければならないこと。

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「考える力のある子」が育つシンプルで確実な方法 [読書]

探Q舎のキーワードでもある"考える力"。
この言葉が目に飛び込んできたので、ざっと読んでみた。
2001年発行ということでかなり古いのであるが、本質を突いた内容の濃さは、そのきわめて控えめな表紙からも醸し出されていた。

「考える力のある子が育つ、シンプルで確実な方法 メーナーシュアー 船渡佳子訳 PHP研究所」

わずか、3歳でも問題を解決するのがうまい子供は、何をするにしても簡単に諦めないで他のやり方を考えられるという。親が答えや解決方法を示さなくても自ら問題意識とそれに対する解決法を探り出す、創りだすことができるという。

ICPS I can Problem Solve-ICPSというアメリカの教育プログラムの25年間の実践的な研究(1980年代~)が行われた。このプログラムのとりくみの狙いは、こどもに問題を解決する力をつけさせること。一番大切な点は、"どう考えるかということ"をこどもに教えることであった。科学的に確かめられた知育の対話法 (ICPS対話術)を身につけると、子供は難しい問題も自分で解決できるようになった。

【手順】
1. 問題をはっりさせる
2. 自分や他人の気持ちを考えさせる
3. 問題の解決法をいくつも考えさせる (多方面からの見方)
4. 解決法の結果を考えさせる

【対話でのキーワード】
肯定/否定 (例文.アレックスは男の子です。アレックスは風船ではありません)
どちらも/どちらか
いくつか/ぜんぶ
その前に/そのあとに
今すぐ/あとで
同じ/違う
タイミングがいい/タイミングが悪い
もし…なら/それなら…となる
たぶん…かもしれない
なぜ/なぜなら
公平/不公平

【身につけたこどもにおこる変化】
1.他人との間に問題が起きたとき、どうしたらいいか考えられるようになる。
2.一つの問題に対して色々な解決法を見つける能力が身につく。
3.自分の行動がどんな結果をもたらすのか、わかる子に育つ。
4.相手の気持ちも、自分の気持ちも、考えられる子に成長する


日々の生活の中で、両親が言葉遊びゲームを通して、論理的思考力をステップごとに丁寧に鍛えるプログラムである。問題は何なのか、今自分が何を望むのかを第一に把握すること。また、他人の感情を予想することや、いくつもの可能性から一つづつ解決方法を試すこと、自分の選択した行動をすれば、相手が次にどう出るかなどを冷静に考えてから行動する癖付けをトレーニングである。さらに、親にとっても解決方法を教えない、指示しない、感情的にならずにこどもの声にじっくり耳を傾ける、子どもの気持ちを考えるというトレーニングを同時に行えるものになっている。

●慌ただしい日常の中で子どもとじっくり向き合いながらトレーニングすることは相当の忍耐力を求められるが、このプログラムを実践すると、確実に論理的思考力、問題解決力が上昇することは間違いなしである。
●ただ、日本人の多くは、幼少の頃このようなトレーニングを受ける機会がなかったであろうから、親世代にとっては、始めはハードルがとても高いかもしれない。
●このプログラムが日本に浸透していないのは、このようなスキルを持っている大人がそもそも少ないことに原因があると思われ、おそらく実践できる大人が少ないと予想される。
●グローバル社会において、日本人ビジネスマンが苦労する点のひとつは論理的思考力の低さ、それに付随する交渉力や説得力の低さなどがあると思う。
●ビジネスだけではなく、人生における様々な答えのない問題が降りかかった際にも、考える力、課題解決力の高低は大きく行く先を左右するであろう。


最も重要であるのは、幼児教育かもしれない。

幼児教育の時期に、家庭だけではなく、このような高度な教育を提供できる保育士さんがどれだけいるか。たとえ、実践はできなくても、このような知識をどれだけ持っているかいないかで、こどもへの対応が大きく違ってくるだろう。その後の子ども達の人生が大きく左右されるのだ。

昨今は、共働き家庭や片親家庭が多いことから、こどもが幼少の頃に、長時間子どもに寄り添い、じっくりと成長を味わえる親たちは非常に少ないと思われるが、それでも、ゲームの中で、日常生活の中で、対話時にほんの少しだけ声かけの方法を工夫することで、子どもの能力が大きくアップすることができるということもまた事実である。

どんな問題でもじっくりと考え自らの知恵を絞り出し、多くの人間と良い関係を築きながら問題解決ができるような大人に、そして目的を達成できるような強く逞しい大人に育ってくれるようにサポートしていきたいと思う。